家庭での防災対策は、災害時に家族の命と生活を守るための第一歩です。地震、台風、津波、洪水、火災など、日本は様々な災害リスクに晒されています。しかし日頃からしっかりと備えておくことで、いざという時に冷静に行動でき、被害を最小限に抑えることが可能です。このページでは、家庭でできる実践的な防災対策について、具体的かつわかりやすく解説します。
1. 家庭で備えておきたい「防災三本柱」
① 備蓄
災害発生後、ライフライン(電気・水道・ガス)が停止する可能性があります。その場合、支援が届くまで自力で数日間を過ごさなければならないため、「最低3日分」、できれば「7日分」の備蓄が望ましいとされています。
- 水:1人1日3リットル(飲料・調理・衛生用)×家族人数分
- 食料:保存のきく非常食(アルファ米、レトルト、お菓子、缶詰など)
- 日用品:トイレットペーパー、ティッシュ、簡易トイレ、マスク、生理用品など
② 安全確保
地震による家具転倒やガラスの飛散などは、家庭内でも命を脅かす要因になります。以下の対策を徹底しましょう。
- 家具の固定:タンスや冷蔵庫、本棚は転倒防止器具を使用して壁に固定
- ガラスの飛散防止:窓ガラスや食器棚には飛散防止フィルムを貼る
- 避難経路の確保:玄関や廊下など、避難ルートには物を置かない
③ 情報と連絡
災害時は正確な情報収集と、家族との連絡手段の確保が重要です。
- 情報源の確保:乾電池式ラジオやモバイルバッテリーを備える
- 連絡方法の確認:災害用伝言ダイヤル(171)やLINE、SNSの使用方法を家族で共有
- 集合場所の事前確認:地域の避難所や、集合すべき公園・学校などを家族で共有
2. 非常持ち出し袋を用意する
災害発生直後、自宅から安全な場所に避難しなければならない状況もあります。そのために、持ち出し袋を常に玄関付近などに用意しておきましょう。中身の例は以下の通りです。
- 身の回り品:現金(小銭含む)、保険証・免許証コピー、メモ帳とペン
- ライト・電池類:懐中電灯(できればヘッドライト)、乾電池、モバイルバッテリー
- 医療用品:常備薬、絆創膏、消毒液、マスク
- 衣類:下着、タオル、雨具、防寒着
- 食品類:カロリーメイトなどのすぐ食べられる非常食
- 水:500mlペットボトル数本
ポイントは、「軽くて持ちやすい」「定期的に中身を見直す」「家族ごとに分けて用意」することです。
3. 家族構成に応じた備え
家庭によって防災対策は異なります。特に高齢者、小さな子ども、ペットなどがいる場合、それぞれに合わせた備えが必要です。
高齢者がいる場合
- 飲み込みやすい非常食、介護用おむつ、薬の準備
- 杖や車椅子でも使いやすい避難器具
- 平時に避難場所のバリアフリー対応の有無を確認しておく
乳幼児・子どもがいる場合
- 粉ミルク、哺乳瓶、離乳食、おむつ、抱っこ紐
- 子どもが落ち着くおもちゃや絵本(心理的安定)
- 名前・住所・緊急連絡先を書いたタグを身につける
ペットがいる場合
- フード、飲料水、トイレシート、ゲージ、ワクチン証明書など
- 避難所にペット同伴が可能か確認(多くの自治体では不可のケースも)
4. 防災訓練と家庭内のルールづくり
災害時、備えていた物を使いこなせなければ意味がありません。家庭でも年に数回、防災訓練を行いましょう。
- 想定シナリオ訓練:地震が起きたらどう行動するか?をロールプレイ形式で家族全員で確認
- 避難所まで歩いてみる:実際に避難ルートを確認して、危険箇所がないか点検
- 連絡の取り方を実践:171や災害用SNSサービスを実際に使用してみる
また、家庭内で以下のようなルールを設けておくと安心です。
- 災害時はまず身の安全→火の元確認→靴を履く→避難行動の優先順位
- 親が不在時の子どもの行動マニュアル(祖父母宅に避難など)
- ペットと一緒に逃げる場合の手順と役割分担
まとめ
家庭防災は、「誰かがやる」ではなく、「自分たちがやる」ことが大前提です。準備に完璧はありませんが、「もしも」を考えながら、できることから始めることが重要です。日々の備えが、いざという時の「安心」につながります。